現代。
新進作家の白川椿は、旧華族・橘家に嫁いだ叔母のもとへ、次回作の取材に訪れた。
そこで、女学校時代の思い出の品とともに封印された、古ぼけた手帳を発見する。
資料かと思った椿は、中身を読んでいく。
昭和六年、春。
橘男爵家の令嬢・摩乃は、窮屈な寄宿学校生活に飽き飽きし、無為な毎日を過ごしてきた。
そんなある日、新しく赴任してきた須賀神父を一目で気に入った摩乃は、純情で生真面目な神父を困らせる言動を繰り返しては、 退屈の憂さ晴らしをはじめた。
最初はおもしろ半分だったのが、いつしか本気で彼に恋をしている自分に気付く。
しかしそれは、許されない恋だった。
そして、運命の歯車は思わぬ方向へと回ってゆく──。
“森深き国”ヴァルトラント王国の騎士・ハンスは、王太子妃となる姫君を招く舞踏会で、奇妙な少年に出会う。
『男装令嬢』をテーマにした、お題小説です。
一見するとどこにでもいる中年サラリーマン風のナカムラさんは、恋愛の「確率」が見える男。
普通の人間には姿が見えない、そんな彼が目をつけたのは、街中で口論する気の強そうなキャリアウーマンと後輩サラリーマンだった。
「確率」が低いこのふたりを、ナカムラさんはいかに成功させるか思案するのだが──。