時は十九世紀末。ロンドンからニューヨークへ向かう船に乗り込んだ、新聞記者のウォルターとダニエル。奥手で女性に苦手意識を持つウォルターが出会ったのは、喪服の美女クレアだった。はじめての恋に戸惑うウォルター。だがその背後に、ロンドンを恐怖に陥れた稀代の殺人鬼が、音もなく近づいてきた──。
きっとあなたも騙される。ヴィクトリアン・ミステリー「倫敦(ロンドン)の悪魔」
時は十九世紀末。
ロンドンで「切り裂きジャック」事件を担当していた新聞記者のウォルターは、一年間の特派員生活を終え、相棒のダニエルとともにニューヨークへ向かう客船に乗っていた。
暇つぶしに船内を回っていたウォルターは、クレア・リデルと名乗る喪服の美女に出会い、一目で恋に落ちる。
その後もたびたびクレアと顔を合わせるが、彼女はいつもふさいでおり、その理由を決して明かそうとはしなかった。
時同じくして、挙動不審な医師・ロレンスに着目したダニエルは、彼と接触を試みる。 警戒心が異常に強いロレンスに、ダニエルは切り裂きジャックの容疑者ではないかと疑いの目を向け、身辺を調査しはじめる。
そしてニューヨーク上陸の日、事態は急展開を迎える。 複雑に絡み合った人間関係、その先にある真実とは──?
真実はいつも、意外な姿をしている。 十九世紀ロンドンを戦慄させた事件を追う、ヴィクトリアン・ミステリー。