時は二十世紀初頭の大阪。 心斎橋筋に面する東華百貨店に設置された鳳凰像は、時代とともに移り変わる人々の営みを見つめ続けた。 ある者は人生を一変させる出会いを経験し、またある者は失った信念を取り戻す。やがて時は流れ、鳳凰自身の運命をも変える出来事が起きる──。
百貨店と人々がたどる道を、百年の時をかけて見守る鳳凰が語る連作短編集。
時は二十世紀初頭の大阪。 心斎橋筋に面する東華百貨店に設置された鳳凰像は、時代とともに移り変わる人々の営みを見つめ続けた。 ある者は人生を一変させる出会いを経験し、またある者は失った信念を取り戻す。やがて時は流れ、鳳凰自身の運命をも変える出来事が起きる──。
百貨店と人々がたどる道を、百年の時をかけて見守る鳳凰が語る連作短編集。
書き下ろし小説として、2017年刊行!
「鳳凰はかく語りき」は、大阪心斎橋に建てられた架空の百貨店「東華百貨店」を舞台に繰り広げられます。物語には直接関係ありませんが、こんな設定があります。
東華百貨店の前身である桐山呉服店の看板。定紋である「桐に鳳凰」が見える。いわゆる「見立て紋」と呼ばれるデザインで、桐の葉と花を鳳凰に見立てており、ここからシンボルとしての鳳凰が生まれた。
海外の百貨店や欧州の紋章がベースになっている。カタカナの「ト」に見えるようデザインされているが、左の空白や右上の斜線に実は意味はなく、季節やイベントごとに柄を入れるなどをして遊び心を持たせた。
東華百貨店のロゴマークがはいった包装紙は、当時はモダンすぎたきらいはあったが好評だったという。遠目からも判別つくようにオレンジ色を中心に、随所にカタカナの「ト」が入れられている。1970年代に一度廃止されたが2017年に復刻された。百貨店のテーマ花である柘榴の包装紙も人気だった。